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窓辺で手紙を読む女

なぜフェルメールは同じものを何度も描いた?|真珠・手紙・地図から読み解く作品世界

フェルメールの絵には、同じものが何度も登場する

《真珠の耳飾りの少女》だけを見ていると、あの耳飾りは、この少女だけが持っている特別なもののように思えます。ところが、ヨハネス・フェルメールのほかの絵と並べてみると、印象が変わってきます。真珠のようなアクセサリーをつけた女性が、あの絵にも、この絵にも出てくるのです。

フェルメールの作品として数える絵の数や、どの飾りを真珠と見なすかは、研究者によって少し違います。それでも、《真珠の耳飾りの少女》を所蔵するマウリッツハイス美術館によると、フェルメールの36作品のうち18作品に、真珠らしい飾りが描かれているそうです。なんと半分です。

手紙もよく出てきます。手紙を読んだり、書いたり、受け取ったりする場面がはっきり描かれた絵は、6点ほどあります。壁に掛かった大きな地図も、いくつもの室内の絵に登場します。

何度も出てくるのは、この3つだけではありません。左の窓から差し込む光。ライオンの頭が彫られた椅子。めくり上げられたカーテン。分厚い絨毯。リュートやヴァージナル(小型の鍵盤楽器)。おなじみの品々が、何度も顔を出します。

比較画像|真珠・手紙・地図が一目で分かる3作品
左から《真珠の耳飾りの少女》《窓辺で手紙を読む女》《士官と笑う娘》
ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

真珠・手紙・地図を「三大モチーフ」と呼びたくなるところです。でも、登場する回数で見ても、絵の中での役割で見ても、この3つだけが特別だったわけではありません。わかりやすい代表例として取り上げている、くらいに考えてください。

「真珠は純潔のしるし」「地図は海で栄えたオランダの豊かさ」「手紙はラブレター」。作品の解説では、こんな説明をよく見かけます。でも、同じ画家が同じ品を何度も描いたとき、その意味はいつも同じだったのでしょうか?

この記事では、「それぞれの品が何を表しているのか」ではなく「フェルメールはなぜ同じような小道具を何度も使ったのか」を探っていきます。

『真珠』|意味だけではなく、”光”を描くためのモチーフだった

まず知っておきたいのは、真珠はフェルメールの絵だけに出てくるものではなかった、ということです。17世紀半ばのオランダでは、本物の真珠も、ガラスなどで作った模造品(偽物)も、たくさん出回っていました。

絵の世界でも同じです。ヘラルト・テル・ボルフ、ガブリエル・メツー、フランス・ファン・ミーリスなど、同じ時代の画家たちも、真珠の首飾りや耳飾りをつけた女性を何度も描いています。つまり真珠は、フェルメールが考え出した秘密のサインではありません。当時の画家たちがよく描いていた、おなじみのアイテムだったのです。

では、真珠にはどんな意味があったのでしょうか。これまで「富」「愛」「純潔」「虚栄(見かけを飾ることのむなしさ)」など、いろいろな解釈がされてきました。でも、真珠が出てくる18点すべてに同じ意味が当てはまるかというと、そうとは言い切れません。絵によって、意味が読み取りやすいものと、そうでないものがあります。

わかりやすいのが《天秤を持つ女》ではないでしょうか。机の上には真珠や金が広げられていて、女性は天秤を手にしています。後ろの壁には、神が人の魂を裁く場面を描いた《最後の審判》が掛かっています。これだけ手がかりがそろっていれば、「富」と「魂の裁き」を重ねて読む解釈にも、うなずけます。

一方、《真珠の耳飾りの少女》の背景は暗い一色で、天秤も《最後の審判》も描かれていません。《天秤を持つ女》と同じ読み方を、そのまま当てはめることはできないのです。

真珠の耳飾りの少女
《真珠の耳飾りの少女》ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

同じ真珠でも、絵によって読み取れることは違います。18点すべてに同じ意味があったとは言い切れません。
そもそも、この少女の耳飾りが本物の真珠かどうかもわかっていません。マウリッツハイス美術館は、耳飾りが顔にくらべて大きすぎること、耳と耳飾りをつなぐ金具が描かれていないことを理由に挙げています。そのうえで、ガラスの模造品だったのかもしれないし、実物はなく絵の中だけで描かれたものかもしれない、と説明しています。

絵具を調べれば、どんな絵具が使われたかはわかります。でも、フェルメールの目の前に本物の耳飾りがあったかどうかまではわかりません。

おもしろいのは、この耳飾りの描き方です。近づいてよく見ると、真珠の丸い輪郭は描かれていません。描かれているのは、主に2つの白だけです。

上のほうに厚く塗られた白:光が直接当たって、キラッと光っているところ
下のほうに薄く塗られた白:まわりから跳ね返ってきた光が、うっすら映っているところ

この2つの白が、暗い首すじや背景の中に浮かんでいるだけです。それなのに私たちの目は、「そこに丸くてツヤのある真珠がある」と、足りない部分を自分で補って見てしまうのです。

《真珠の耳飾りの少女》(耳飾りを拡大)
《真珠の耳飾りの少女》(真珠の耳飾り部分)
ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

真珠のようなアクセサリーは、絵の中に小さな光をひとつ置くのに、ぴったりのものでした。《リュートを調弦する女》でも、窓から入った光が、耳と首の真珠に当たって光っています。同じ光は、椅子に打たれた真鍮の鋲(びょう)にもキラリと映っています。

真珠は、何かの意味を表すだけでなく、「光を見せるための道具」でもあった。そう考えてフェルメールの絵を見ると、ぐっとわかりやすくなります。

比較画像|フェルメール作品の真珠を身につけている絵画
左から《真珠の耳飾りの少女》《真珠の首飾りの女》《手紙を書く女》
ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

『手紙』|読んでいるのに、その内容は分からない

手紙がはっきり描かれ、絵の主役になっている作品は、6点ほどあります。

  • 《窓辺で手紙を読む女》
  • 《青衣の女》
  • 《手紙を書く女》
  • 《婦人と召使》
  • 《恋文》
  • 《手紙を書く婦人と召使》

真珠の18点にくらべると、ずっと少ない数です。それでも手紙の絵が印象に残るのは、手紙を見ると、その人に何が起きているのかを、つい想像してしまうからではないでしょうか。読む人はうつむき、書く人はふと手を止め、受け取る人は顔を上げる。そのしぐさから、物語が始まりそうな気がするのです。

窓辺で手紙を読む女
ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》1657〜1659年頃、ドレスデン国立美術館 古典絵画館蔵
出典:Staatliche Kunstsammlungen Dresden / Wikimedia Commons / Public Domain

では、当時の人たちにとって、手紙はどんなものだったのでしょうか。手がかりになるのが、オランダのライデン大学の研究プロジェクト「Letters as Loot(戦利品としての手紙)」です。

17世紀、オランダとイギリスは何度も戦争をしていました。そのたびにイギリスの船がオランダの船をつかまえ、積まれていた手紙も没収しました。その手紙がイギリスに残されていて、研究チームはそれを調べたのです。個人的な手紙だけで、およそ1万5千通。書いたのは男性も女性もいて、内容も航海の報告、商売の指示、家族への連絡など、実にさまざまでした。もちろん、ラブレターもその中に含まれています。

一方、絵の中の手紙は、少し事情が違います。日常の場面を描く絵(風俗画)では、ラブレターが人気の題材でした。手紙を一通描くだけで、見る人は「誰からだろう」「どんな恋なんだろう」と物語を想像できます。画家にとって、とても便利な小道具だったのです。テル・ボルフもメツーも、手紙を読む女性や書く女性を何度も描いています。当時は、ラブレターの書き方を教える本まで出版されていたほどです。

つまり、実際の手紙は仕事や家族の連絡など内容がさまざまでしたが、絵の中の手紙は恋の物語と結びつけられやすかった。重なる部分はあっても、まったく同じではなかったのです。

左から《窓辺で手紙を読む女》《青衣の女》《恋文》
ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

では、フェルメールの手紙の絵は、ラブレターを描いたものなのでしょうか。「恋の手紙だ」と読み取れる手がかりの多さは、作品によってかなり違います。ここでは3つの作品を比べてみましょう。

《窓辺で手紙を読む女》
ドレスデンにあるこの絵は、長いあいだ、女性の後ろが何もない白い壁の絵として知られてきました。ところが1979年にX線で調べたところ、その白い壁の下に、キューピッド(恋の神)の絵が隠れていることがわかりました。壁に、キューピッドを描いた絵が掛けられていたのです。はじめは、フェルメール自身が塗りつぶしたと考えられていました。

しかし2017年からの調査で、この塗りつぶしは、フェルメールが亡くなってずいぶんたってから、別の誰かが加えたものだと判断されました。そこで2018年から2021年にかけて、上から塗られた絵具が取り除かれ、キューピッドが再び姿を現しました。

恋の神が壁に戻ったことで、「この手紙はラブレターだ」と考える手がかりは、以前より強くなりました。とはいえ、キューピッドがいるからといって、手紙に何が書いてあるかまでわかるわけではありません。

《恋文》
女主人が弦楽器を抱えたまま、召使から手紙を受け取っている場面です。後ろの壁には、海の絵が掛かっています。当時、海はよく恋にたとえられていました。題名のとおり、恋の手紙だと考える手がかりが多い絵です。

《青衣の女》
こちらの手紙は、誰から届いたのかも、何が書いてあるのかもわかりません。女性のお腹がふっくらして見えるので、「妊娠していて、遠くにいる夫からの手紙を読んでいる」という説は有名です。でも、当時流行していた服の形でそう見えるだけ、という見方も根強く、どちらとも決まっていません。

3つの絵を見比べると、あることに気づきます。どの絵でも、私たちは手紙の文章を読むことができないのです。文字はそもそも描かれていないか、描かれていても読めない形になっています。

では、フェルメールは謎を残すために、わざと文字を隠したのでしょうか。そう言い切れる資料はありません。当時の小さな風俗画では、手紙は文章を読ませるためのものではなく、「読んでいる」「書いている」という様子を見せるための小道具でした。

その結果、手紙に何が書いてあるのか、この先どうなるのかを想像するのは、絵を見る私たちに任されているのです。

『地図』|静かな部屋の壁に広がる外の世界

フェルメールの絵で壁に掛かっている地図は、想像で描いた飾りではありません。当時実際に売られていた地図や海図を、かなり正確に描き写したものです。

研究者ジェームズ・ウェルーの調査によると、《士官と笑う娘》《青衣の女》《恋文》の3点に描かれた地図は、どれも同じ種類の壁掛け地図がもとになっているそうです。オランダのホラント・西フリースラント地方を描いた地図で、バルタザール・ファン・ベルケンローデが作り、有名な地図出版者ウィレム・ブラウが売り出したものです。ほかにも、《リュートを調弦する女》にはヨーロッパの地図、《絵画芸術》にはネーデルラント17州(いまのオランダとベルギーのあたり)の地図が描かれています。

士官と笑う娘
ヨハネス・フェルメール《士官と笑う娘》1657年頃、フリック・コレクション蔵
出典:Google Arts & Culture / Wikimedia Commons / Public Domain

同じ地図が何度も出てくるなら、フェルメールはその地図を家に持っていたのでしょうか。ここで、ちょっと意外な記録があります。1676年、フェルメールが亡くなったあとに家にあった物のリスト(家財目録)が作られました。そこには椅子もテーブルもカーテンも鏡も絵も並んでいるのに、地図は一枚も出てこないのです。同じ地図を何度も描いた可能性は高いものの、フェルメールがそれを持っていたとまでは確かめられません。

ただ、これは亡くなった時点の記録です。それより前にも持っていなかった、とまでは言えません。

17世紀のオランダは、地図づくりや地図の出版がとても盛んな国でした。壁掛け地図は、学者が使う道具であると同時に、お金持ちの家を飾るインテリアにもなりました。つまり、絵の中の地図は、当時の暮らしからかけ離れたものではなかったのです。

とはいえ、そこから一気に「海外に進出したオランダを誇るために、フェルメールは地図を描いた」と決めつけるのは、言いすぎです。フェルメール自身が書いた手紙やメモはほとんど残っていません。彼が何を考えて地図を選んだのかを教えてくれる資料は、ないのです。

そこで、もう少し確かなことから考えてみましょう。絵の中で、地図は白い壁に掛かった大きな四角形です。人物の頭のうしろに、横と縦のまっすぐな線をつくってくれます。紙の折れ目には、斜めから差し込む光が当たります。絵を組み立てるパーツとして、これほど使いやすい物はなかなかありません。

実際、フェルメールは制作の途中で地図を動かしたり、消したりしています。《水差しを持つ女》では、描いている途中の地図は、いまよりもっと左まで広がっていました。《真珠の首飾りの女》の何もない壁には、最初は大きな地図と楽器が描かれていたこともわかっています。地図は、何かの意味を表すしるしである前に、フェルメールが絵の中で位置や大きさを調整していた「画面のパーツ」でもあったのです。

比較画像|同じ系統の地図を作品ごとにどう変えたか
左から《士官と笑う娘》《青衣の女》《恋文》/ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

同じ地図がもとになっているはずのこの3点を見比べると、描き方がまったく違うことに気づきます。

《士官と笑う娘》:色がたくさん使われていて、壁いっぱいに明るく広がっています。
《青衣の女》:全体が茶色っぽく沈んでいて、女性の青い上着を引き立てる背景になっています。
《恋文》:手前の暗い部分の、左側の壁に描かれています。細かいところはほとんど省かれています。

同じものでも、作品ごとに役割は変わる

ここまで、真珠・手紙・地図を見てきました。「真珠=〇〇」「手紙=〇〇」「地図=〇〇」と、意味の一覧表にまとめたくなるかもしれません。でも、そういう表はたぶんうまくいきません。1つの品がいくつもの役割を持っていて、そのどれが表に出るかは、絵によって変わるからです。

真珠

当時流行していたアクセサリーで、身につけた人の上品さを表すこともできました。《天秤を持つ女》では金貨や天秤と一緒に描かれ、「富」や「魂の裁き」というテーマにつながっています。一方、《真珠の耳飾りの少女》では、暗い背景と少女のまなざしの中に置かれた、小さな光のひと粒になっています。

手紙

実際に人々がやりとりしていた連絡手段で、風俗画では恋を描くときの定番の小道具でもありました。人物に「読む」「書く」というしぐさをさせる道具でもあります。《窓辺で手紙を読む女》や《恋文》のように、キューピッドや海の絵が添えられて恋の手紙らしく見える絵もあれば、《青衣の女》のように、誰からの手紙かまったくわからない絵もあります。

地図

実際に売られていたインテリア用品で、見る人に遠い土地や学問の世界を思わせるものでした。同時に、人物の背景を組み立てる大きな面でもありました。同じ地図がもとになった3点でさえ、壁いっぱいに明るく広がったり、茶色く沈んだり、暗がりの中で細部が省かれたりしています。

人物、光、まわりの品、壁に掛かった絵、画面の中での位置。そうしたものが変わるたびに、同じ小道具が別の役割を果たしていたのです。そう考えると、「真珠だから純潔」「手紙だから恋」「地図だから繁栄」という読み方が、どれほど大ざっぱだったかがわかります。

『窓と楽器』|フェルメールの部屋をつくる名脇役

何度も描かれたものを数えていくと、真珠や地図よりも多いくらいのものがあります。窓です。

フェルメールの画風が固まってからの室内画では、光はたいてい画面の左側にある窓から入ってきます。窓は、何かの意味を読み取らなくても、絵の中での役目がはっきりしています。

  • 部屋に光を入れる
  • 明るいところと暗いところをつくる
  • 人物がどちらを向くかの目安になる
  • 部屋の奥行きを感じさせる

真珠のきらめきも、金属や陶器のつやも、パンのざらっとした表面も、ひとつの光に照らされて、同じ部屋の中にあるように見えます。それができるのは、この窓があるからです。

左から《牛乳を注ぐ女》《窓辺で手紙を読む女》
ヨハネス・フェルメール/画像出典:Wikimedia Commons/Public Domain

楽器も何度も出てきます。リュート、ヴァージナル、ギター、そして楽譜。楽器も、フェルメールだけが描いた題材ではありません。当時、裕福な家の若者たちは音楽を習っていて、仲間同士の合奏は、人と交流する場にも、恋が始まるきっかけにもなりました。

だからといって、楽器が描かれていれば必ず恋の絵、というわけでもありません。楽器は、教養の高さを示したり、ゆとりのある暮らしを表したり、身分をうかがわせたりします。画面のバランスをとるパーツにもなります。いろいろな役割を持っていたのです。

窓も楽器も、「何か意味があるから描いた」というだけでは、何度も描かれた理由を説明しきれません。絵を組み立てるのに使いやすかったことも、理由のひとつだったと考えられます。

実は、フェルメールの絵の部屋は、自宅の一室をそのまま写したものではないと考えられています。実際に知っていた家具、布、地図、絵などを材料にして、作品ごとに選び、数を減らし、置き直してつくった部屋なのです。

近年の科学調査でも、そのことがわかってきました。完成した絵では静かに整って見える部屋も、描いている途中では、物の位置が何度も動かされていたのです。2025年に発表された国際的な共同研究では、フェルメールの作品とされる37点(数え方は研究によって異なり、この研究では37点を対象にしています)を調べたところ、そのうち30点に、細かな修正から大きな構図の変更まで、何らかの描き直しの跡が見つかりました。

なぜフェルメールは同じものを何度も描いたのか

同じモチーフを描き続ける理由はいくつかあると思います。しかし。 本人がその理由を書き残していないので、はっきりとはわかりません。考えられるのはこの5つではないでしょうか。

① 当時の暮らしで身近な品だったから
真珠、手紙、地図、楽器は、17世紀のオランダで実際に使われていた品です。当時の絵にもよく登場していました。

② ほかの画家たちも描いていたから
テル・ボルフ、メツー、ピーテル・デ・ホーホなど、同じ時代の画家たちもこうした品を描いています。日常の場面を描く絵では「おなじみのアイテム」だったんです。

③ フェルメールの手元にあったかもしれないから
実際に見たり、手に取ったりできる品だったのかもしれません。ただ、彼が持っていたという記録は見つかっていないので、あくまで「かもしれない」です。

④ 絵をつくるのに便利だったから
光の当たり方を見せたり、人物をどこに置くか決めたり、奥行きや背景の壁を描いたりするのに、これらの品はとても使いやすかったんです。

⑤ 同じ品でも、絵ごとに違うお話をつくれたから
同じ真珠や手紙でも、描き方しだいで絵ごとに違うストーリーや雰囲気が生まれます。

どれか一つが正解というより、こうした理由がいくつも重なっていたのでしょう。

そう考えると、フェルメールは「同じものばかり描いた画家」というより、「同じ小道具を何度も並べ替えた画家」と言えそうです。真珠を置く場所を変える。地図の明るさを変える。手紙を読む人の向きを変える。そうするたびに、光の入り方も、部屋の見え方も、絵の中のお話も変わっていきました。

次にフェルメールの絵を見るときは、「この真珠にはどんな意味があるんだろう?」と考える前に、まずはその品が画面のどこにあって、どんなふうに光が当たっているかを見てみてください。同じ真珠や地図でも、絵によって見え方がまったく違うことに気づくはずです。

引用・参考元はこちら

◼️大学・美術館・コレクション

マウリッツハイス美術館「Johannes Vermeer (1632-1675)」
┗ https://www.mauritshuis.nl/en/our-collection/our-masters/johannes-vermeer
マウリッツハイス美術館「Johannes Vermeer《真珠の耳飾りの少女》」
┗ https://www.mauritshuis.nl/jp/コレクションを探す/アートワーク/670-真珠の耳飾りの少女
ワシントン・ナショナル・ギャラリー「Dutch Paintings of the Seventeenth Century: Woman Holding a Balance, c. 1664」
┗ https://www.nga.gov/research/publications/online-editions/dutch-paintings-seventeenth-century-woman-holding-balance-c
ワシントン・ナショナル・ギャラリー「Dutch Paintings of the Seventeenth Century: A Lady Writing, c. 1665」(2019年12月9日改訂)
┗ https://www.nga.gov/research/publications/dutch-paintings-seventeenth-century/dutch-paintings-seventeenth-century-lady-writing-c-1665
ワシントン・ナショナル・ギャラリー「Vermeer and the Masters of Genre Painting: Inspiration and Rivalry」(2017年10月22日〜2018年1月21日)
┗ https://www.nga.gov/exhibitions/vermeer-and-masters-genre-painting-inspiration-and-rivalry
メトロポリタン美術館「Young Woman with a Lute」
┗ https://www.metmuseum.org/art/collection/search/437880
メトロポリタン美術館「Johannes Vermeer (1632–1675)」(2003年10月)
┗ https://www.metmuseum.org/en/essays/johannes-vermeer-1632-1675
アムステルダム国立美術館「Vermeer exhibition texts」
┗ https://www.rijksmuseum.nl/en/whats-on/exhibitions/past/vermeer/vermeer-exhibition-text
アムステルダム国立美術館「10 things about Vermeer’s Woman Reading a Letter」
┗ https://www.rijksmuseum.nl/en/stories/10-things/story/10-things-about-vermeer-woman-reading-letter
アムステルダム国立美術館「Vermeer initially painted the house in his famous The Little Street with a closed door」(2025年7月10日)
┗ https://www.rijksmuseum.nl/en/press/press-releases/vermeer-first-painted-the-house-in-his-famous-little-street-with-a-closed-door
ドレスデン国立美術館「Revealing Cupid: Restoration of Vermeer’s ‘Girl Reading a Letter at an Open Window’ completed」(2021年8月24日)
┗ https://www.skd.museum/en/besucherservice/presse/2021/ein-liebesgott-taucht-auf-vermeers-brieflesendes-maedchen-am-offenen-fenster-vollstaendig-restauriert/
ライデン大学「Letters as Loot」(2008〜2013年)
┗ https://www.universiteitleiden.nl/en/research/research-projects/humanities/letters-as-loot.-towards-a-non-standard-view-on-the-history-of-dutch

◼️専門サイト

Essential Vermeer「Dutch Cartography」
┗ https://www.essentialvermeer.com/maps/vermeers-maps.html
Essential Vermeer「Inventory of Movable Goods of Vermeer’s Home at Oude Langendijk, Delft」
┗ https://www.essentialvermeer.com/inventory.html
Essential Vermeer「What is the Meaning of Woman in Blue Reading a Letter?」
┗ https://www.essentialvermeer.com/cat_about/blue.html