美術館や展覧会のニュースだけでなく、木工とAI、写真集、版画、漫画、アニメーション、実験的なデザインやサウンドアートまでを網羅!
+び。STATIONでは、国内外で起きているアートの動きから、気になるニュースをピックアップ。2026年10月17日は、国内5本・海外9本の計14本をお届けします。
「何が起きたのか」だけでなく、どこが面白いのか、なぜ注目したいのかも一緒に見ていきましょう。
国内のART NEWS
1|家具なのか楽器なのか?―真鍋大度と神山友輔が木工とAIで生み出す不思議な作品
東京・西麻布のKARIMOKU RESEARCH CENTERで10月17日、展覧会「Machines of Loving Grace」が開幕します。メディアアーティストの真鍋大度とデザインエンジニアの神山友輔が、生成AI「Claude」を構想に取り入れた新作インスタレーションを発表する企画です。
真鍋の《Timber / Timbre》は、家具と楽器の間を探る作品。木や植物、電子回路、AIを結びつけ、自然の素材と人工的な仕組みが共存する表現を試みます。一方、神山の《Dance as Waves》は、光をともしたアームを持つ3体の木製構造体が動き、その軌跡を波のように重ねる作品です。会場ではカリモク家具の木工技術や制作過程も紹介されます。
開催場所:KARIMOKU RESEARCH CENTER(東京都港区)
会期:2026年10月17日(土)〜25日(日)
ここがポイント
木工家具とAIは、一見すると遠い分野に思えます。しかし、材料の性質を考えながら形をつくる職人の仕事も、情報を組み合わせて発想を広げるAIも、ものづくりの方法に関わっています。今回の展示では、AIが作品を自動で完成させるのではなく、作家とともに構想する道具として使われています。長く培われてきた職人技と新しい技術の出会いに注目したい企画です。
参考:真鍋大度 公式プロジェクト案内
2|写真は撮って終わりじゃない―世界の写真家が「写真集をつくること」に向き合う11日間
東京・浅草橋で10月17日、写真と写真集を中心とした祭典「Ephemere Photo Fest 2026」が開幕します。会場では写真作品の展示に加え、写真集の発表、作家によるトーク、編集や製本に関するワークショップなどが行われます。
今年は、写真を3枚組み合わせる三連作の可能性を探る展示や、写真集そのものに焦点を当てた展示などを開催。初日には、高知と東京を拠点に活動する島崎康介の写真集『Rinzai』や、フィリピンのアルフレッド・オンによる『Phantasma』など、個人的な記憶や経験を題材にした作品が紹介されます。写真を見るだけでなく、作品が一冊の本になるまでの考え方にも触れられる催しです。
開催場所:Three Space Tokyoほか(東京都台東区)
会期:2026年10月17日(土)〜27日(火)
ここがポイント
同じ写真でも、壁に一枚だけ飾る場合と、本のページをめくりながら見る場合とでは印象が変わります。写真集では、どの写真を最初に置き、どの順番で見せるのかが重要です。紙の手触りや大きさも、作品の受け取り方に関わります。今回の写真祭は、撮影そのものだけでなく、写真を選び、並べ、印刷し、届ける行為までが創作であることを感じさせてくれます。
参考:Ephemere Photo Fest 2026 公式プログラム
3|石に描いた絵が紙に刷り上がる!―大阪の小さな印刷所で「石の版画展」が開幕
大阪・京橋の鶴身印刷所で10月16日、石版印刷の作品を集めた小さな展覧会「石の版画展」が開幕しました。同印刷所が石版画展を企画するのは初めてで、今回が初挑戦という人から、約3年間制作を続けてきた人まで、さまざまな参加者の作品が並びます。
石版印刷は、水と油が反発する性質を利用し、石の表面に描いた図柄を紙へ転写する平版印刷の技法です。会場1階には仕組みを説明する展示や講師が手づくりした小型印刷機が用意され、印刷の実演も行われます。最終日の10月24日には、来場者が実際に石版印刷を体験できる企画も予定されています。木版画の小展示も同時開催中です。
開催場所:鶴身印刷所(大阪府大阪市)
会期:2026年10月16日(金)〜18日(日)、23日(金)〜24日(土)
ここがポイント
版画は完成した紙の作品を見るだけでは、どのような工程でつくられたのか分かりにくいことがあります。石版印刷では、石に描いた図柄が化学的な性質を利用して紙へ移されます。今回の展示では、作品と印刷機を同じ場所で見ることができ、制作の仕組みまで知ることができます。小さな印刷所だからこそ実現できる、作り手と道具の距離が近い展覧会です。
参考:鶴身印刷所 公式案内
4|東京の上空200メートルに「宇宙船」が出現―ヨシロットンが光と観測データでつくる新世界
東京・虎ノ門のTOKYO NODEで10月30日から、アーティストYOSHIROTTEN(ヨシロットン)の個展「彼方との交信/BEYOND EARTH」が開催されます。
舞台となるのは、地上約200メートルの高層ギャラリー。会場全体を一つの宇宙船に見立て、宇宙、地球、都市のデータを映像や光へと変換する大型インスタレーションを展開します。今回は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が協力し、天体の観測データから生まれる表現にも挑戦。人工衛星「おおすみ」の管制卓や、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」に関する展示も予定されています。自然光を取り込む空間では、昼と夜で異なる表情が現れる構成です。
開催場所:TOKYO NODE GALLERY(東京都港区)
会期:2026年10月30日(金)〜2027年1月11日(月・祝)
ここがポイント
宇宙の観測データは、通常なら数値やグラフとして示されます。しかし、ヨシロットンはそうした情報を、絵画や映像、光の空間へと置き換えようとしています。しかも会場は、東京の街を見下ろす高層階です。宇宙のデータから生まれた光と、窓の外に広がる都市の光が同じ空間に存在します。科学によって得られた情報を、人が身体で感じる風景へ変える試みとして注目したい展覧会です。
参考:TOKYO NODE 公式展覧会案内
5|開演前に観客が舞台へ上がる―演劇と美術館を一つにした『三英花 煙夕空』
東京・吉祥寺シアターで10月14日から、演劇ユニット「あやめ十八番」の公演『三英花 煙夕空』が上演されています。
今回の公演には、通常の舞台とは少し違う仕掛けがあります。開演前の時間に、観客が舞台へ上がり、美術家・高遠まきが手がけた舞台美術を間近で鑑賞できるのです。開場後から開演10分前まで舞台へ上がれるようになっており、劇場の中に美術作品を鑑賞する時間が設けられています。あやめ十八番は、歌舞伎や能、浄瑠璃などの要素を取り込んだ「擬古典」と呼ぶ演劇を制作してきました。今回の舞台では、古典芸能を基礎とする演劇に、現代美術による新しい鑑賞体験を重ねています。
開催場所:吉祥寺シアター(東京都武蔵野市)
会期:2026年10月14日(水)〜18日(日)
ここがポイント
舞台美術は、通常、客席から見られることを前提につくられます。ところが今回、観客は物語が始まる前に舞台へ上がり、作品の細部を確認できます。開演後には、先ほど間近で見た作品が演劇の空間を構成する要素に変わります。同じ場所を「美術館」として見る時間と「劇場」として見る時間を設けることで、舞台美術と鑑賞者の関係を変えようとしている点がユニークです。
参考:吉祥寺シアター 公式公演案内
海外のART NEWS
6|ゴジラ、鉄腕アトム、妖怪からゲームまで!―アジア200年の空想世界400点以上が香港に集結
香港の美術館M+で10月17日、展覧会「Myths and Monsters: The Art of Fantasy in Asia」が開幕します。19世紀から現代まで、アジアの美術や視覚文化に登場した神話、怪物、空想世界を400点以上の作品から紹介する大規模展です。
会場には、日本の浮世絵、中国の影絵、チベットの仏画から、シュルレアリスム、漫画、アニメ、ゲームまで多彩な作品が登場。ゴジラや鉄腕アトム、ウルトラマンなども取り上げられ、空想上の存在がどのように時代の不安や希望を映してきたのかをたどります。来場者が自分だけの架空の生き物を創作できるデジタル体験も設けられます。
開催場所:M+ 西ギャラリー(香港・西九文化区)
会期:2026年10月17日(土)〜2027年4月4日(日)
ここがポイント
妖怪とゴジラ、鉄腕アトムは、まったく違う存在に見えます。しかし、人が現実にはいない存在を想像し、物語をつくってきたという点ではつながっています。空想は単なる娯楽ではなく、戦争や社会の変化、未来への期待を表現する方法にもなります。漫画やアニメを美術の歴史から切り離さず、長い空想表現の流れの中で捉え直している点が、今回の展覧会の面白さです。
参考:M+ 公式展覧会案内
7|風船なのに座れる!?―樹脂で固めた「ふわふわに見える家具」がロンドンに
英国ロンドンで開催中のデザインフェア「PAD London 2026」に、韓国のデザイナーSeungjin Yang(ヤン・スンジン)の家具作品が出品されています。
注目を集めるのは、風船の形をそのまま家具にしたような「Blowing Series」です。実際に膨らませた風船へエポキシ樹脂を何層にも塗り重ね、表面を硬くすることで、椅子として使える強度を持たせています。見た目は風船の集まりですが、実際には人が座れる丈夫な構造です。作品は一つ完成させるのに通常約2週間かかるといい、今回のフェアではソファ、アームチェア、スツールなどを紹介しています。
開催場所:PAD London/Berkeley Square(英国・ロンドン)
会期:2026年10月13日(火)〜18日(日)
ここがポイント
風船は、軽くて柔らかく、いつかしぼんでしまうものです。一方、椅子には重さを支える強度が求められます。この作品は、相反する性質を持つ二つのものを結びつけています。しかも、風船の形を模した彫刻ではなく、実際の風船を使って制作している点が特徴です。見た目の印象と素材の性質の違いから、家具とは何かを考えたくなるデザインです。
参考:Wallpaper*、2026年10月14日掲載
8|人形を少しずつ動かして映画をつくる―LAIKAの新作『Wildwood』制作現場がロンドンに
英国ロンドンのデザイン・ミュージアムで10月15日、展覧会「LAIKA presents Wildwood: The Exhibition」が開幕しました。
LAIKAは、『コララインとボタンの魔女』や『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』などで知られる米国のストップモーション・アニメーション制作会社です。ストップモーションとは、人形などを少しずつ動かして撮影し、静止画像を連続して再生することで動きを生み出す技法です。今回の展覧会では、10月23日に公開予定の新作映画『Wildwood』を取り上げ、制作に使用した人形やミニチュアのセット、小道具、スケッチなどを展示。映画の世界がどのようにつくられたのかを紹介します。
開催場所:Design Museum(英国・ロンドン)
会期:2026年10月15日(木)〜2027年1月10日(日)
ここがポイント
ストップモーションの映像では、画面に映るものの多くが、実際につくられた立体物です。そのため、完成した映画には、人形を造形する人、衣装を縫う人、ミニチュアの建物を制作する人など、多くの作り手の仕事が重なっています。今回の展覧会では、完成映像だけでは見えにくい工程を確かめられます。アニメーションを、立体造形と撮影技術を結びつけた総合的な表現として見る機会になりそうです。
参考:Design Museum 公式展覧会案内
9|写真を使わず、街角で見た人々を漫画にする―香港の日常を描く「Comix Pulse」
香港アーツセンターで10月15日、漫画家ダン・アーチャー(Dan Archer)の展覧会「Comix from the Streets of Hong Kong」が開幕しました。
アーチャーは、実際の出来事や人々の暮らしを漫画で記録するノンフィクション漫画家です。今回の作品は、写真を資料にして描くのではなく、香港の街で実際に人々を観察し、その場で描いたスケッチを基にしています。市場の商人、格闘技の道場、地域の祭りなど、取り上げる題材はさまざま。取材した人物の言葉を吹き出しに取り入れながら、街の風景と会話を一つのページにまとめます。会場ではスケッチブックから完成した漫画へ至る制作過程も紹介します。
開催場所:Hong Kong Arts Centre(香港・湾仔)
会期:2026年10月15日(木)〜28日(水)
ここがポイント
写真は一瞬の風景を記録しますが、絵を描く場合、作家は対象を観察しながら線を選びます。アーチャーは、その時間そのものに意味があると考えています。人の表情や動き、周囲で交わされる言葉を一つのページへまとめることで、写真とも文章とも違う記録が生まれます。漫画が架空の物語を伝えるだけでなく、街の現在を記録する手段にもなることを示す展示です。
参考:Hong Kong Arts Centre 公式展覧会案内
10|川の上に高さ10メートルのレーザー、空中に1500個の光―プラハの街全体が作品に
チェコ・プラハで10月15日から、光とデジタルアートの祭典「Signal Festival 2026」が開催されています。
14回目となる今回は「Dream On!」をテーマに、街の17か所で21のインスタレーションを紹介します。注目作品の一つが、台湾出身のアーティストAka Changによる《Multimmersion_Upside Down》。高さ約10メートルのレーザーの光と、ヴルタヴァ川の水面に生まれる反射を組み合わせ、奥行きがどこまでも続くような錯覚をつくり出します。また、ジム・キャンベルの《Scattered Light》には1,500個のLEDが使われ、空中に浮かぶ光の集まりが人の姿を浮かび上がらせます。
開催場所:プラハ市内各所(チェコ)
会期:2026年10月15日(木)〜18日(日)
ここがポイント
光の作品は、美術館の展示室の中だけで成立するものではありません。水面に反射するレーザーは、川の流れによって見え方が変わります。公園に吊るされたLEDも、周囲の暗さや人の動きによって異なる印象を与えます。つまり、建物や自然、通行人までが作品を成立させる条件になるのです。いつもの街を歩くことで作品に出会うという、都市型芸術祭ならではの魅力があります。
参考:Signal Festival 公式プログラム
11|大手出版社を通さない漫画が集結―サバンナの小さなZINE祭典「SAVage FST」
米国ジョージア州サバンナで10月17日、自主出版漫画とZINEを中心としたイベント「SAVage FST 2026」が開催されます。
ZINEとは、個人や小さなグループが自主的に企画・制作する冊子のことです。写真、漫画、イラスト、文章など、内容も形式も自由で、必ずしも商業出版を目的としていません。SAVage FSTでは、オルタナティブ・コミックス、ミニコミック、ZINEなどをつくる作家や小規模な出版社が集まります。参加者には、自作の冊子や自主出版物を少なくとも1種類持ち込むことが求められています。会場は街の通りを使った屋外イベントで、地域の小さな出版文化を支える場となっています。
開催場所:DeSoto Avenue周辺(米国・ジョージア州サバンナ)
会期:2026年10月17日(土)12:00〜18:00(現地時間)
ここがポイント
漫画や本を発表するには出版社が必要だと思われがちですが、ZINEは作り手自身が編集し、印刷し、読者へ届けることができます。大きな流通網を持たないからこそ、個人的で実験的な表現が生まれることもあります。SAVage FSTは、作品を売るだけでなく、同じように制作する人々が出会う場所でもあります。小規模なイベントながら、自主出版文化の面白さが詰まった催しです。
参考:SAVage FST 公式案内
12|絶対に勝てないピンボール?―香港でゲームの仕組みから労働を考える展覧会
香港のDE SARTHEで10月10日から、カナダのアーティスト、ミッチェル・F・チャンによる個展「Workers’ Playtime」が開催されています。
会場に並ぶのは、ピンボールの機械部品や映像ゲームを使った参加型の作品です。一見すると、観客が遊べるゲームセンターのような展示ですが、そこには仕掛けがあります。例えば《Cliff Hangers》では、プレイヤーが操作するレバーとボールの位置関係に、成功を妨げる構造が組み込まれています。別の作品《Roundtrippin’》では、ボールが装置の中を動き続けますが、プレイヤーには操作できる部分がありません。労働と報酬の関係を、ゲームの仕組みから問いかけます。
開催場所:DE SARTHE(香港)
会期:2026年10月10日(土)〜11月21日(土)
ここがポイント
ゲームには、努力すれば上達し、成功に近づけるという期待があります。しかし、この展覧会の作品では、プレイヤーがいくら工夫しても結果を変えられない仕組みが用意されています。反対に、人が何もしなくても装置だけが動き続ける作品もあります。作家が扱うのは、努力と結果の関係を決めているのが、実は仕組みの側ではないかという問題です。遊ぶことで社会の構造を体験する作品になっています。
参考:DE SARTHE 展覧会プレスリリース(Ocula掲載)
13|美術館そのものを「日時計」にする?―オランダで美術・考古学・ゲームを横断する展覧会
オランダのアイントホーフェンにあるファン・アッベ美術館で10月17日、展覧会「Museum as Sundial(日時計としての美術館)」が開幕します。
発想の出発点は、美術館の建物そのものです。1936年に建てられた旧館は、太陽との関係を意識して設計されました。今回は、その建築を日時計になぞらえ、光や影、方角、時間という要素から美術館の役割を考え直します。展覧会には、絵画や彫刻だけでなく、考古学、建築、ゲーム、音楽、参加型パフォーマンスなど多様な表現が登場。過去の資料と現在の作品を組み合わせながら、美術館を学びや交流の場所として捉え直す企画です。
開催場所:Van Abbemuseum(オランダ・アイントホーフェン)
会期:2026年10月17日(土)〜2027年2月21日(日)
ここがポイント
日時計は、太陽の位置と影によって時間を知る道具です。今回の展覧会では、それを美術館のあり方に重ねています。作品を並べて歴史を説明するだけでなく、建物の向きや人の動き、街とのつながりまで含めて考えようとしているのです。ゲームや共同制作も取り入れることで、鑑賞者は単に作品を見る人ではなく、美術館の中で新しい関係をつくる参加者になります。建物そのものを展示の発想源にする点が興味深い企画です。
参考:Van Abbemuseum 公式展覧会案内
14|60年前の「芸術と工学の実験」が復活―ロンドンの旧水力施設で『3 Evenings』
英国ロンドンで10月16日から、パフォーマンスとテクノロジーを結びつけるイベント「3 Evenings」が開催されています。
Somerset House Studiosの設立10周年を記念した企画で、会場にはかつての水力動力施設「Wapping Hydraulic Power Station」を使用します。着想源となったのは、1966年に開催された実験的な催し「9 Evenings: Theatre and Engineering」。芸術家と技術者が協力し、舞台表現に新しい技術を取り入れた歴史的な試みです。今回は、その60年後の実験として、音楽、映像、パフォーマンス、インタラクティブな作品を展開。アヨン・キム、シン・リウ、Keikenらによる新しいインスタレーションも披露されます。
開催場所:Wapping Hydraulic Power Station(英国・ロンドン)
会期:2026年10月16日(金)〜18日(日)
ここがポイント
1966年の「9 Evenings」は、舞台芸術とテクノロジーが結びつく可能性を探った先駆的な催しでした。そこから60年が経ち、映像や音響、デジタル技術は日常的な道具になっています。しかし、技術を使えば自動的に新しい表現が生まれるわけではありません。今回の企画では、演者の身体と装置、観客との関係をどのようにつくり直せるのかが問われています。技術の進歩を見せるだけではない、実験の場として注目したい企画です。
参考:Somerset House Studios 公式プログラム
まとめ
10月17日のART NEWSでは、作品そのものだけでなく、作品を生み出す道具や方法に注目したい企画が集まりました。
真鍋大度と神山友輔の展覧会では、木工の職人技とAIが結びつき、新しい作品が生まれます。大阪の小さな石版画展では、石と水、油を使った印刷の仕組みを間近で知ることができます。東京の写真祭では、撮影した写真を選び、並べ、一冊の本へと仕上げる工程も創作の一部になります。
海外では、アジアの妖怪や漫画、ゲームを200年の空想表現として捉え直すM+の展覧会が始まります。風船から家具をつくるSeungjin Yangや、香港の街をスケッチしながら漫画にするダン・アーチャーも、身近なものから思いがけない表現を生み出しています。
そして、米国サバンナの小さなZINE祭典。大規模な展覧会とは違い、自分で作品をつくり、自分で印刷し、読者へ届ける人々が集まります。
美術は、美術館に飾られた完成作品だけではありません。小さな印刷所や街角、工房、劇場など、さまざまな場所で生まれています。そうした創作の現場に目を向けると、カルチャーの世界はもっと広く、面白く見えてきます。
