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「一冊の本」から描く「私の中の日本」 – 代官山 蔦屋書店『DAIKANYAMA drawing』が開幕|プラステ号外

2026年10月7日、代官山 蔦屋書店で「DAIKANYAMA drawing」が始まりました。

手描きを軸に活動するアーティストたちがそれぞれ一冊の本を選び、その本から生まれた作品を展示・販売する企画で、2回目となる今回のテーマは「私の中のジャポニスム」です。

19世紀に西洋から日本を見るなかで生まれた「ジャポニスム」という言葉を、2026年の作家たちはどのように描いているのでしょうか。

一冊の本を選び、読み、描く

参加するのは、手描きを軸に活動する6人のアーティストと、「7人目のアーティスト」として加わる同店の文具コンシェルジュ・佐久間和子さんです。各作家は、ふだんはあまり意識しない自分の中の「日本」を手がかりに一冊の本を選び、そこから着想した作品を制作しました。

会場では、選ばれた本と作品があわせて紹介されています。

「日本らしいモチーフを描いてください」と頼むのではなく、まず本を読み、自分なりに受け取ったものを作品にしていくという順番が、この企画のいちばんの特徴です。会期中は約30講座のワークショップや、作家がその場で絵を描くドローイングサービスがほぼ毎日行われ、文具と紙ものの専門店「Paper Tree」「WACCA JAPAN」「TAG STATIONERY」の商品も並びます。

妖怪学の本から《九尾の狐》、英字の図案集から日本を見る

大阪生まれのデザイナー/アーティスト、DLOPさんが選んだのは、妖怪研究の第一人者として知られる小松和彦さんの『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』(講談社学術文庫)です。そこから生まれた《九尾の狐》は、狐を「日本らしいキャラクター」として描くのではなく、自然や動物に霊性を感じてきた文化や、人が自然に抱いてきた畏れにまで踏み込んだ作品として紹介されています。

マカオを拠点に西洋の伝統的な書体を手がけるカリグラファー、ベリンダ・チムさんの一冊は『新装復刻版 変体英文字図案集』(青幻舎)です。1962年に日本で刊行された図案集を再構成したもので、戦後の印刷物や看板などに使われたアルファベットの字体と、約1000種のモノグラムが収められています。

「日本」がテーマの展示で英文字の本というのは意外ですが、西洋の文字が日本でどう受け止められ、独自のデザインへ変わっていったのかを考えると、これもまた日本を見つめ直す入口になりえます。

150年前、モネが描いた「日本」

ジャポニスムは、19世紀後半のヨーロッパで日本の美術や工芸が大流行した現象を指す言葉です。その代表作としてよく知られるのが、モネが1876年の第2回印象派展に出品した《ラ・ジャポネーズ》です。赤い着物をまとう妻カミーユは金髪のウィッグをかぶっていて、所蔵するボストン美術館は、彼女が西洋の女性であることを強調するためだと解説しています。出品時の題名も《ラ・ジャポネーズ》ではなく、日本趣味の品を指す《ジャポヌリ》でした。

ボストン美術館はこの絵を、当時パリで流行していた日本趣味へのウィットに富んだコメントとも紹介しています。描かれていたのは日本そのものというより、19世紀のパリの人々が見て、買い求め、思い描いた「日本」だったといえます。

関連記事|モネはなぜ妻に着物を着せた?|《ラ・ジャポネーズ》に至るまで →

「見る側」が入れ替わる2026年のジャポニスム

150年前と大きく違うのは、描く側の立ち位置です。参加作家には、メルボルン出身で東京を拠点にするイラストレーターのエイドリアン・ホーガンさん、ジャカルタにスタジオを構えるカリグラフィーアーティストのヴェロニカ・ハリムさん、日本と西洋の書を独自に融合させる書家・カリグラファーの島野真希さん、神戸で歯科医師をしながら手書きの文字やイラストを手がける雨宮三起子(ame)さんもいます。

DLOPさん、ベリンダ・チムさん、佐久間和子さんを含め、拠点も経歴もさまざまで、「西洋が日本を見る」という19世紀の図式には収まりません(出典:代官山 蔦屋書店)。 代官山 蔦屋書店のデザインコンシェルジュ・籔田千晴さんは、情報にあふれた現代では、日本人であることを意識する機会が減っているのかもしれないとコメントしています。そのうえで、1878年のパリ万博で注目された日本美術の魅力が「逆輸入」のように日本人に再発見された例を挙げ、作家たちのジャポニスムを通して日本の魅力を見つけてほしいと呼びかけています。

かつては外から眺められる側だった日本を、いまは日本で暮らす人も、海外を拠点にする作家も、それぞれの一冊を通して見つめ直しています。会場では、本と作品を見比べながら「自分ならどの一冊を選ぶか」を考えてみるのもおすすめです。

開催場所:代官山 蔦屋書店 2号館1階 建築・デザインフロア(東京都渋谷区猿楽町17-5)
会期:2026年10月7日(水)〜10月27日(火)

DAIKANYAMA drawing 公式ページ →

引用・参考元はこちら

◼️公式・主催者

代官山 蔦屋書店「DAIKANYAMA drawing
┗ https://store.tsite.jp/daikanyama/event/architectural-design/56103-0959280807.html

Paper Tree「DAIKANYAMA drawing」ワークショップ&ドローイングサービス
┗ https://www.papertree.jp/pages/daikanyamadrawing

◼️美術館

ボストン美術館「La Japonaise (Camille Monet in Japanese Costume)」
┗ https://collections.mfa.org/objects/33556

ボストン美術館「Conservation in Action: La Japonaise」
┗ https://www.mfa.org/collections/conservation/conservation-in-action/la-japonaise

◼️出版社

講談社『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』
┗ https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000211787

青幻舎『新装復刻版 変体英文字図案集』
┗ https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-691-6/

◼️専門メディア・記事

Tokyo Live & Exhibits「DAIKANYAMA drawing 代官山 蔦屋書店」
┗ https://tokyo-live-exhibits.com/pug_tksh_daikanyamatsutaya/