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日刊アートニュース用アイキャッチ画像「Daily ART PICKs +び。ステーション」

最新ART NEWS 13選【2026年10月21日】|+び。STATION

美術館や展覧会のニュースだけでなく、絵本、イラストレーション、版画、実験舞台、ゲーム制作、工芸デザイン、映画、漫画、現代美術までを網羅!

+び。STATIONでは、国内外で起きているアートの動きから、気になるニュースをピックアップ。2026年10月21日は、国内6本・海外7本の計13本をお届けします。

「何が起きたのか」だけでなく、どこが面白いのか、なぜ注目したいのかも一緒に見ていきましょう。

国内のART NEWS

1|人間が「椅子」になるために踊る!?―AIで身体を変形させる奇妙な舞台

東京芸術劇場で10月29日から、アーティスト・花形槙によるパフォーマンス『エルゴノミクス胚』が上演されます。テーマは、なんと「人間が椅子になろうとすること」です。

出演者はヘッドマウントディスプレイを装着し、自分の身体がAIによってリアルタイムで椅子のような形に変換される映像を見ながら、少しずつ姿勢を変えていきます。

「エルゴノミクス」とは、人間の身体や動作に合わせて道具を設計する考え方。しかしこの作品では、その関係が逆転します。人間が道具に合わせて身体を変えようとするのです。

昨年の公開実験を経て、今回はAIやモーションキャプチャ技術を取り入れた本公演へ発展。10月19日には演出家・岡田利規と花形による対談音声も公開されました。

開催場所:東京芸術劇場 シアターイースト(東京都豊島区)
会期:2026年10月29日(木)〜11月1日(日)

ここがポイント

普段、椅子は人間が快適に座るためにつくられています。ところが、この作品では人間のほうが椅子になろうとします。AIが変形させた自分の姿を見ながら身体を動かす行為は、どこか滑稽で、少し不気味です。技術は人間を便利にするものなのか。それとも、知らないうちに人間の行動を変えているのか。奇妙な身体表現を通じて、そんな問いが浮かび上がります。

参考:舞台芸術祭「秋の隕石2026東京」公式公演案内

舞台芸術祭の公式サイト →

2|インドの神話が日本でアニメーションに!―絵本『MORIBITO』の原画を名古屋で初公開

インドのゴンド族出身の画家、バッジュ・シャームによる絵本・短編アニメーション『MORIBITO』の発表記念展が、11月19日から松坂屋名古屋店で開催されます。10月20日に主催者が発表しました。

シャームは、インドの先住民族に伝わる神話や自然観を、細かな模様と鮮やかな色彩で描くアーティスト。日本との共同制作によって、自身の人生を題材にした絵本とアニメーションが生まれました。

展覧会では、絵本の原画を東海地方で初公開。京都・東寺で展示された作品を含め、約20点の原画が並びます。

短編アニメーションでは、シャーム自身の語りと、タブラ奏者U-zhaanの演奏が組み合わされます。インドの物語や絵画が、日本の音楽・映像制作と出会う企画です。

開催場所:松坂屋名古屋店 本館7階大催事場(愛知県名古屋市)
会期:2026年11月19日(木)〜23日(月・祝)

ここがポイント

ゴンド絵画の魅力は、動物や植物の姿が、細かい線や模様の集まりによって表現されることです。静止した絵だけでも生命が動いているように見えますが、それを実際にアニメーションにしたら、どのような世界が生まれるでしょうか。さらに、作者自身の語りとタブラの音が重なることで、絵を見る体験が、物語を聴く体験へと広がります。異なる文化の表現が出会う制作過程にも注目です。

参考:バッジュ・シャーム・キョウト実行委員会 公式発表(2026年10月20日)

展覧会の公式発表 →

3|版画なのに同じものを二度と刷れない?―平澤まりこが木々の「声」を描く

東京・恵比寿のアルフレックス東京で10月29日、画家・イラストレーターの平澤まりこによる作品展「語りかける木々は ことばにならない歌をうたう」が始まります。開催は10月20日に発表されました。

中心となるのは「モノタイプ」と呼ばれる版画です。版の表面に描いた絵を紙へ転写する方法で、一般的な版画とは異なり、基本的に同じ図柄を何枚も刷ることはできません。

平澤が今回のテーマに選んだのは、日々の散歩や旅先で出会う木々。愛犬と歩きながら見てきた季節ごとの風景や、木々から何かを語りかけられるような感覚を、作品へと変えています。

会場ではモノタイプの作品に加え、家具ブランドのソファ「MARENCO」と組み合わせた新しい表現も紹介します。

開催場所:アルフレックス東京(東京都渋谷区)
会期:2026年10月29日(木)〜11月17日(火)/水曜定休

ここがポイント

版画というと、一枚の版から同じ絵を何枚も刷るものだと思いがちです。しかしモノタイプは、転写の結果が一枚ごとに異なる表現です。木々を見て感じた、言葉にならない印象を描くには、偶然生まれる色の重なりや、予測しきれない転写の表情も大切なのかもしれません。身近な散歩の風景から作品が生まれ、さらに家具と組み合わされて生活空間へ広がるところも面白い試みです。

参考:アルフレックスジャパン 公式発表(2026年10月20日)

アルフレックスジャパンの公式サイト →

4|『100万回生きたねこ』の原画を全点公開へ―佐野洋子の絵本50周年を記念

絵本『100万回生きたねこ』の出版50周年を記念する「絵本作家・佐野洋子展」が、2027年4月10日から静岡市美術館で開催されることが、10月20日に発表されました。

1977年に出版された『100万回生きたねこ』は、何度も生まれ変わる一匹の猫を描いた作品。今回の展覧会では、その原画を全点公開します。ただし、一度にすべてが並ぶわけではなく、会期中に展示替えが行われます。

佐野洋子は絵本だけでなく、エッセイ、童話、翻訳、挿絵など幅広い分野で活動しました。本展では、それらの仕事も原画や資料から紹介します。

静岡は、佐野が小学6年生から高校3年生までを過ごした土地。作家の人生と作品を結びつけて見られる展覧会となり、その後は全国巡回も予定されています。

開催場所:静岡市美術館(静岡県静岡市)
会期:2027年4月10日(土)〜6月6日(日)

ここがポイント

絵本は、文章と絵が一体になった表現です。印刷された本では、ページの流れや物語に目が向きますが、原画を見れば、筆の動きや色の重なり、描き直しの痕跡などに気づけるかもしれません。『100万回生きたねこ』には、愛らしい猫の物語というだけではない、生と死をめぐる問いがあります。原画と作家の生涯を一緒に見ることで、長く読み継がれてきた一冊の印象も変わりそうです。

参考:神戸新聞社 公式発表(2026年10月20日)

展覧会の公式発表 →

5|ゲームの「完成しなかった結末」まで公開!―小島秀夫の制作現場をのぞく展覧会

ゲーム制作会社KOJIMA PRODUCTIONSの設立10周年を記念する展覧会「BEYOND THE STRAND:創造と挑戦の航路」が、10月31日から東京・麻布台ヒルズギャラリーで開催されます。10月16日には展示内容の詳細が発表されました。

注目は『DEATH STRANDING』の初期プロトタイプです。完成版がどのような試行錯誤を経て生まれたのか、未公開の原画やデザイン資料、初期段階のエンディング案などからたどります。

さらに、『DEATH STRANDING』の世界を体験できる360度映像インスタレーションや、制作会社のオフィスと常時接続するディスプレイも設置。

完成したゲームだけでなく、採用されなかった構想や制作環境まで公開することで、ゲームをひとつの総合的な創作活動として紹介します。

開催場所:麻布台ヒルズギャラリー(東京都港区)
会期:2026年10月31日(土)〜12月20日(日)

ここがポイント

ゲームの制作では、最初に思いついたアイデアがそのまま完成することはほとんどありません。何度も試し、失敗し、作り直すことで、世界観や操作方法が形になっていきます。今回は、その途中経過を実際の資料から見ることができます。特に初期のプロトタイプや別の結末の構想は、完成版との違いを考える大きな手がかりです。ゲームを遊ぶだけでは見えない、創作の裏側に注目したい展覧会です。

参考:KOJIMA PRODUCTIONS 公式展覧会案内

KOJIMA PRODUCTIONSの公式サイト →

6|竹の照明を指でスライドすると光が変わる―京都の竹工芸と新技術が融合

10月30日から東京で開催される「DESIGNART TOKYO 2026」に、工芸プロダクトブランド「Nosou」の照明作品《Nosou 0°》が出展されます。10月20日に日本での展示計画が発表されました。

特徴は、京都の竹加工メーカー「高野竹工」と共同で製作した本体です。天然竹を精密に加工し、「四方貼り」と呼ばれる伝統技法で仕上げています。

さらに、新しく開発したスライドスイッチを組み合わせ、照明のヘッド部分を指で動かすことで、点灯・消灯や明るさの調整ができる仕組みです。

ブランドが掲げるのは「経年美化」。竹は時間が経つにつれて色や質感が変わる素材です。その変化を欠点ではなく、長く使うことで深まる美しさとして捉えています。

開催場所:AUTOBAHN – The Design Store/東京・旧KK線(東京都中央区)
会期:2026年10月30日(金)〜11月3日(火・祝)

ここがポイント

照明を操作するとき、普通はボタンを押したり、ダイヤルを回したりします。しかし《Nosou 0°》では、照明そのものを指でスライドさせます。操作する動作までデザインの一部になっているのです。さらに、時間とともに色が変わる竹を使うことで、完成した瞬間だけでなく、使い続けた先の姿も考えています。伝統工芸を昔の形のまま保存するのではなく、新しい生活道具へ応用している点が特徴です。

参考:nottuo株式会社 公式発表(2026年10月20日)

Nosouの展示発表 →

海外のART NEWS

7|海の記憶を約50点の絵画・素描に。西村有、フランスの美術機関で初の個展が本日開幕

フランス・パリのLafayette Anticipationsで10月21日、日本人画家・西村有の展覧会「Towards a Sea」が開幕します。西村にとってフランスの美術機関での初個展となり、約50点の絵画や素描を紹介します。

西村が繰り返し描いてきたのは、日常の中にふと現れる風景です。電車の窓から見える海、木々や建物の向こうに隠れた水平線、人や動物の姿などが、画面の中で重なり合います。

油彩やテンペラを使いながら、写真や映画のようなぼかし、重ね合わせの表現も取り入れています。

はっきり見えているようで、どこか曖昧。現実の風景を描いているはずなのに、記憶の中にある景色を眺めているような、不思議な画面が特徴です。

開催場所:Lafayette Anticipations(フランス・パリ)
会期:2026年10月21日(水)〜2027年1月3日(日)

ここがポイント

絵画では、輪郭をはっきり描くことで物の形を伝える方法があります。しかし西村の絵では、人物や風景の境界が曖昧になり、画面の奥に別の時間が隠れているように感じられます。これは、何かを思い出そうとするときの感覚にも似ています。見た景色をそのまま再現するのではなく、記憶の中で形を変えた風景を描いているような表現です。何が描かれているかだけでなく、どのように見えてくるかを楽しみたい作品です。

参考:Lafayette Anticipations 公式展覧会案内

Lafayette Anticipationsの公式サイト →

8|映画監督が美術展をつくると、展示室が「映画」になる?―アリス・ディオップの新作企画

パリのパレ・ディエナで10月21日、映画監督アリス・ディオップによる展覧会「Geste de Consolation」が始まります。アート・バーゼル・パリの関連プログラムで、ディオップにとって初めての展覧会構成です。

映画、写真、彫刻、詩、ダンス、音楽などを組み合わせ、黒人女性アーティストたちの表現を通じて、記憶や癒やしについて考えます。

参加者には写真家ザネレ・ムホリ、彫刻家シモーン・リー、ダンサーのナディア・ブグレらが名を連ねます。

興味深いのは、会場が4つの空間に分かれていること。来場者が部屋から部屋へ移動する体験を、映画のショットが次のショットへ切り替わる「編集」のように構成しています。

開催場所:パレ・ディエナ(フランス・パリ)
会期:2026年10月21日(水)〜25日(日)

ここがポイント

映画の編集では、異なる場面をつなぐことで、新しい意味や感情を生み出します。ディオップはその考え方を展示空間へ持ち込みました。鑑賞者は作品を一つずつ眺めるだけでなく、部屋を移動することで、異なる表現に連続して出会います。つまり、展示室を歩く自分自身が、映画を進める役割を担うのです。映画監督ならではの発想が、美術展の見方をどのように変えるのか注目されます。

参考:Miu Miu 公式プロジェクト案内

Miu Miuの公式サイト →

9|海は島々を隔てるものではない―太平洋の作家5人を資料から読み直す小さな展覧会

ニュージーランドのオークランド美術館で10月19日、資料展示「Te Moana-nui-a-Kiwa: Our Sea of Islands」が始まりました。

この展示は、太平洋を「遠く離れた島々の集まり」ではなく、人や文化をつなぐ大きな海として捉えています。

取り上げるのは、テアウネ・ティッボ、ジョン・プレ、イオアネ・イオアネ、ファトゥ・フェウウ、ラタイ・タウモエペアウの5人です。

会場は美術館内の研究図書館。作品そのものだけでなく、過去の展覧会案内、チラシ、記事、作家資料などを並べ、制作活動と地域のつながりを紹介します。

気候変動や海洋汚染、海面上昇といった現代の問題も、太平洋の島々に暮らす人々の文化と結びつけて考える展示です。

開催場所:オークランド美術館 E H McCormick Research Library(ニュージーランド・オークランド)
会期:2026年10月19日(月)〜2027年3月8日(月)

ここがポイント

島は、地図で見ると海に囲まれた孤立した土地に見えます。しかし、太平洋の人々にとって海は、移動や交流を支えてきた大切な道でもあります。この展示では、美術館が保存してきた小さな印刷物や記録を通して、そのつながりをたどります。大きな作品だけでなく、一枚の案内状や古い記事にも文化の歴史が残っていることを教えてくれます。アートを保存することの意味も考えさせる企画です。

参考:オークランド美術館 公式展覧会案内

オークランド美術館の公式サイト →

10|過去の事件をわざわざ撮り直す?―写真と映像で歴史を再構成するスタン・ダグラス展

フランス・パリのジュ・ド・ポームで10月20日、カナダ出身のアーティスト、スタン・ダグラスの展覧会「Parallax」が開幕しました。

ダグラスは、写真や映画、映像インスタレーションを使い、歴史と現代社会の関係を探ってきた作家です。今回の展覧会では、1980年代末から現在までの約40作品を紹介します。

作品の一つ《Hastings Park, 16 July 1955》は、過去のある日の群衆を再構成した写真です。ダグラスは史実や記録を出発点にしながら、撮影や演出によって新しい映像をつくります。

展覧会のタイトル「Parallax」は「視差」を意味する言葉。見る位置が変わると、同じ対象でも違って見える現象を、歴史を眺める視点の違いに重ねています。

開催場所:ジュ・ド・ポーム(フランス・パリ)
会期:2026年10月20日(火)〜2027年1月10日(日)

ここがポイント

昔の出来事を知るとき、私たちは写真や記録映像を事実の証拠として見ます。しかし写真にも、撮影者の立ち位置や切り取った範囲があります。ダグラスは過去の場面を改めて撮影・構成することで、歴史が一つの固定されたイメージではないことを示します。「本当にあったこと」と「その出来事がどう見えていたか」は、必ずしも同じではありません。写真の記録性そのものを考える入口になる展覧会です。

参考:ジュ・ド・ポーム 公式展覧会案内

ジュ・ド・ポームの公式サイト →

11|スパイダーマンの原画から映画の衣装まで!―マーベルの「描かれた歴史」を公開

米国テキサス州のヒューストン自然科学博物館で、12月19日から「Marvel: The Exhibition – Universe of Super Heroes」が開催されます。映画や漫画に登場するヒーローたちを、85年以上にわたる創作の歴史から紹介する巡回展です。

会場には、150点を超える貴重な資料や実物の小道具が集まります。

注目は、映画に使われた衣装や小道具だけでなく、漫画家が描いた原画も展示されること。スティーブ・ディッコらの仕事を通じて、ヒーローがどのような線や構図から生まれてきたのかをたどれます。

現在の映画ではCGによる壮大な映像が使われますが、その出発点には紙の上で描かれた一枚の絵があります。映画と漫画の制作表現を横断して紹介する展覧会です。

開催場所:ヒューストン自然科学博物館(米国テキサス州)
会期:2026年12月19日(土)開幕/終了日未発表(会員向け先行公開は12月18日)

ここがポイント

スーパーヒーローは、映画の中で突然生まれた存在ではありません。漫画家たちが考えた衣装やポーズ、独特の身体の動きが、長い年月をかけて現代の映像表現につながっています。原画と映画の衣装を並べて見ることで、二次元の絵が立体や映像に変わる過程を想像できます。キャラクターの人気だけでなく、デザインや作画技術が受け継がれてきた歴史にも注目したい展示です。

参考:ヒューストン自然科学博物館 公式展覧会案内

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12|美術館に巨大なぬいぐるみが侵入!?―クジラやタコが彫刻と並ぶ不思議な光景

パリのプティ・パレで10月20日、ドイツを拠点に活動するアーティスト、コジマ・フォン・ボニンの作品展「Dollys & Beaux」が始まりました。

展示されるのは、クジラ、タコ、ヤドカリ、犬などをモチーフにした、柔らかな布製の彫刻です。

一般的な彫刻とは異なり、革やベルベットなどを使った作品には、まるで巨大なぬいぐるみのような親しみやすさがあります。

今回の展示では、美術館の彫刻展示室に合わせて作品を配置し直し、チェック柄の布やシルクのスカーフなども加えています。

かわいらしい動物の姿を通じて、装飾品、キャラクター、彫刻の境界を曖昧にする試みです。歴史ある美術館の空間そのものが、作品の一部になっています。

開催場所:プティ・パレ(フランス・パリ)
会期:2026年10月20日(火)〜25日(日)

ここがポイント

美術館の彫刻というと、石やブロンズでつくられた硬く重い作品を想像しがちです。しかし、フォン・ボニンの動物たちは布製で、親しみやすい表情をしています。それでも、単なるぬいぐるみではありません。置かれる場所や周囲の彫刻との関係によって、見え方が変わります。美術館という格式ある空間に、少し場違いにも見える動物たちが現れることで、「何を美術と呼ぶのか」という問いが生まれます。

参考:Art Basel Paris 2026 公式プログラム

Art Baselの公式サイト →

13|身体の中に世界の歴史がある?―キキ・スミスが30年ぶりにロサンゼルスで個展

米国ロサンゼルスで10月30日、現代美術家キキ・スミスの展覧会「Untethered Journey」が始まります。Pace GalleryとJeffrey Deitchの共同企画で、スミスにとって約30年ぶりとなる同市での個展です。

スミスは、人間の身体、動物、自然、死と再生などをテーマに、彫刻、版画、ガラス、テキスタイルなど多様な素材を使ってきました。

今回の展示では、1990年代の代表的な身体彫刻から近年の動物の作品までを紹介します。

蜜蝋、紙、樹脂、ブロンズなど、素材の質感を生かした作品には、美しいものだけでなく、不安や不気味さを感じさせるものもあります。中世の宗教美術や解剖図、神話などを出発点とした、独特の世界観をたどります。

開催場所:Jeffrey Deitch(米国ロサンゼルス)
会期:2026年10月30日(金)〜2027年1月23日(土)

ここがポイント

スミスの作品では、人間の身体が必ずしも理想的で美しい姿では描かれません。内部の構造や、壊れやすさ、死と再生への不安も、そのまま表現の対象になります。一方で、動物や星々を描いた作品には、自然への深い関心も見られます。自分の身体は自分だけのものなのか、それとも自然や歴史とつながっているのか。幅広い素材を使いながら、長く問い続けてきたテーマを感じられる展覧会です。

参考:Pace Gallery 公式展覧会案内

Pace Galleryの公式サイト →

まとめ

今回のニュースで印象的なのは、表現の出発点が必ずしも「絵を描くこと」や「作品を展示すること」ではないという点です。

東京では、人間が椅子になろうとする舞台が上演されます。京都の竹工芸は新しい照明の操作方法と結びつき、ゲーム制作の展覧会では、完成する前に消えていったアイデアまで公開されます。インドの画家が日本と共同制作した絵本とアニメーションにも、文化や表現方法を越える面白さがあります。

海外では、映画監督が展示室を映画の編集のように構成し、パリの美術館には巨大な布製の動物たちが現れます。ヒューストンでは漫画原画から映画のヒーローまでを一緒に紹介。オークランドでは、古いチラシや資料から太平洋の島々の文化的なつながりを見つめ直しています。

また、版画なのに同じものが二度とつくれないモノタイプや、記憶のようにぼやけた風景画など、画材や見え方そのものを工夫する表現もありました。

身体、音楽、工芸、絵本、ゲーム、映画、古い資料まで。私たちが普段見過ごしているものの中にも、新しい創作の入口が隠れています。