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最新ART NEWS 13選【2026年10月14日】|+び。STATION

美術館や展覧会のニュースだけでなく、絵画の素材や写真の歴史、文化財の保存修復、漫画やアニメーションの表現までを網羅!

+び。STATIONでは、国内外で起きているアートの動きから、気になるニュースをピックアップ。2026年10月14日は、国内6本・海外7本の計13本をお届けします。

「何が起きたのか」だけでなく、どこが面白いのか、なぜ注目したいのかも一緒に見ていきましょう。

国内のART NEWS

1|日本の洋画はここから始まった?―明治の画家たちを育てたフォンタネージの大回顧展

東京・丸の内の三菱一号館美術館で10月17日から、「フォンタネージ――イタリアの光・心の風景」が開催されます。アントニオ・フォンタネージ(1818〜1882年)は、19世紀イタリアを代表する風景画家の一人です。1876年に来日し、日本で初めて本格的な西洋美術教育を行った工部美術学校で絵画を教えました。

その門下からは、浅井忠や小山正太郎など、日本の近代洋画を担う画家たちが育っています。

展覧会では、初期から晩年までのフォンタネージの作品に加え、日本の弟子たちやイタリアの後続世代の作品など約200点を紹介。日本では初めてとなる本格的な大回顧展です。

日本とイタリアの国交樹立160周年、フォンタネージ来日150周年という節目に、西洋絵画が日本に根づいていく過程を振り返ります。

開催場所:三菱一号館美術館(東京都千代田区)
会期:2026年10月17日(土)〜2027年1月24日(日)

関連記事|日本画と洋画、どう違うの?【忙しい人のための3分講座】

ここがポイント

フォンタネージが教えたのは、油絵具の使い方だけではありません。自然を観察し、光や空気の変化を捉え、それを画面に表現するという西洋絵画の考え方も伝えました。

彼の風景画には、フランスのバルビゾン派や英国のターナーから受けた影響も見られます。

明治の日本人画家たちが西洋の技術をどのように学び、自分たちの絵画へと発展させていったのか。その出発点を知ることができる展覧会です。

参考:三菱一号館美術館

三菱一号館美術館の公式サイト →

2|約18センチの小さな作品が400点―原宿で「0号展」が本日開幕

東京・原宿のデザインフェスタギャラリーで本日10月14日、約18センチの小さな作品ばかりを集めた「0号展」が開幕します。

今回参加するのは、国内外のアーティスト100名以上。参加人数は過去最大規模となり、一人につき3〜5点、合計約400点の作品が展示される予定です。

「0号」とは、絵画などで使用される小型の作品サイズを表す言葉です。本展では、F0号(180×140ミリ)とS0号(180×180ミリ)の2種類に大きさを限定しています。

会場に並ぶのは油彩やアクリル画などの絵画だけではありません。写真、複数の素材を組み合わせたミクストメディア、半立体作品など、技法も表現もさまざまです。

展示作品の一部は購入も可能。同じ大きさという条件から生まれる、アーティストたちの異なる世界観を楽しめます。

開催場所:デザインフェスタギャラリー原宿 EAST館(東京都渋谷区)
会期:2026年10月14日(水)〜11月3日(火・祝)

ここがポイント

絵画の号数は、作品の大きさを示す規格です。同じ0号でも、人物画向けの比率を持つF号と、正方形のS号では画面の形が異なります。

大きな作品には迫力がありますが、小さな作品には、近づいて細部を眺めたり、限られた空間に込められた工夫を発見したりする面白さがあります。

約400点が同じ規格に収まることで、色づかいや構図、素材の違いが際立つのも見どころ。作品の大きさと表現の豊かさは必ずしも比例しないことを感じられそうです。

参考:デザインフェスタ有限会社 公式発表

デザインフェスタギャラリーの公式発表 →

3|一通のDMから始まった9年間の謎―写真家・藤岡亜弥の新作展が開幕

東京駅近くのアートセンターBUGで本日10月14日、写真家・藤岡亜弥の個展「Forget Me Not」が開幕します。

制作のきっかけとなったのは、9年前にオーストラリア・メルボルン在住の女性から届いた一通のダイレクトメッセージでした。そこには、ある日本人女性の存在についての問い合わせが記されていました。

藤岡はこの出来事を出発点に、自身の故郷である広島県呉市と、遠く離れたメルボルンを結ぶ人々の記憶や歴史を追い始めます。

展覧会の中心となるのは、約3年間の構想・制作を経て生まれた新シリーズ《Forget Me Not》。初めて挑戦した映像作品も含まれています。

藤岡はこれまでも、自身の家族の移民の歴史や、旅先で出会った人々の暮らしを写真に収めてきました。今回は、現実に起きた未解決の出来事から、新たな作品世界を生み出しています。

開催場所:BUG(東京都千代田区)
会期:2026年10月14日(水)〜11月29日(日)

ここがポイント

写真には、確かにそこに存在した人や場所を記録する力があります。しかし、一枚の写真を見ただけでは、その人物がどんな人生を送ったのか、なぜ撮影されたのかまでは分かりません。

藤岡の新作は、写真を撮ることと、写真を手がかりに過去を調べることの両方に向き合っています。

偶然届いた一通のメッセージから、知らなかった歴史や人々のつながりが見えてくる。写真が記録であると同時に、物語の入口にもなることを伝える展覧会です。

参考:BUG 公式展覧会案内

BUGの公式サイト →

4|フランスで展示された北斎の傑作160点が小布施へ―北斎館50周年記念展

長野県小布施町の北斎館で10月24日から、開館50周年記念展「フランス ナント『EXPOSITION HOKUSAI』凱旋展 小布施 北斎の傑作」が開催されます。

本展は、2025年にフランス・ナントのブルターニュ公爵城で開催された北斎展を、日本で改めて紹介する企画です。フランスで展示された北斎館所蔵の約160点が、小布施に戻ってきます。

代表作《冨嶽三十六景》シリーズをはじめ、若い頃に制作した役者絵や摺物、最晩年の作品《富士越龍》などを紹介します。

北斎館がある小布施は、葛飾北斎が晩年にたびたび訪れた土地です。地元の豪商・高井鴻山との交流でも知られ、町には北斎が関わった祭屋台の天井画なども残されています。

1976年の開館から50年。海外で紹介された作品が、北斎とゆかりの深い土地に再び集まります。

開催場所:北斎館(長野県上高井郡小布施町)
会期:2026年10月24日(土)〜2027年1月17日(日)

ここがポイント

北斎の作品は、日本だけでなく19世紀以降のヨーロッパ美術にも大きな影響を与えました。大胆な構図や平面的な色彩は、当時の西洋画家たちに新しい視点をもたらしたのです。

今回の展覧会では、海外で紹介された北斎の仕事を、その作家とゆかりの深い小布施で鑑賞できます。

《神奈川沖浪裏》などの有名な作品だけでなく、若い頃の役者絵や晩年の肉筆画にも目を向けると、長い画業の中で変化し続けた北斎の姿が見えてきます。

参考:北斎館 公式発表

北斎館の公式サイト →

5|原画800点以上で少女漫画の歴史をたどる―萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の三人展

東京・六本木の国立新美術館で10月28日から、「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」が開催されます。

萩尾望都、山岸凉子、大和和紀は、いずれも1960年代後半にデビューし、1970年代以降の少女漫画の表現を大きく発展させてきた作家です。

萩尾の『ポーの一族』『トーマの心臓』、山岸の『アラベスク』『日出処の天子』、大和の『はいからさんが通る』『あさきゆめみし』など、現在も読み継がれる作品を生み出してきました。

展覧会では、モノクロ・カラーの原画を合わせて800点以上展示する予定です。

国立の美術館で開催される初の大規模な少女漫画展として、三人の約60年にわたる創作活動と、少女漫画が培ってきた独自の視覚表現を紹介します。

開催場所:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区)
会期:2026年10月28日(水)〜2027年2月8日(月)

ここがポイント

少女漫画の魅力は、物語や人物の描写だけではありません。感情に合わせて変化するコマ割り、花や光を用いた装飾、人物の心情を表す余白など、独自の表現方法が発展してきました。

一枚の絵だけでなく、ページ全体の構成によって時間や感情を伝える点も、漫画ならではの面白さです。

今回は原画800点以上を通して、印刷された本では気づきにくい線の強弱や色彩の重なりまで鑑賞できます。カラー原画は前期・後期で展示替えがあります。

参考:国立新美術館 公式展覧会案内

国立新美術館の公式サイト →

6|展示室から街へ広がるアート―調布で「テンジシツプロジェクト展」が開幕へ

東京都調布市で10月15日から、「テンジシツプロジェクト展 見えないところでも、いつも何かは起こっている」が始まります。

本展は、2024年から取り組まれてきた「テンジシツプロジェクト」の3年間の活動をまとめる企画です。小川希をキュレーターに迎え、Aokid、飯川雄大、井口美尚、タツルハタヤマらが参加します。

特徴は、作品が展示室の「ナカ」だけでなく、調布の街へ広がる「ソト」にも展開されることです。

展示室では映像、インスタレーション、パッチワークなどを紹介。11月13〜15日には調布駅周辺で野外上映やパフォーマンス、参加型ワークショップなども開催されます。

さらに、市民とともに制作された作品が展示に加わるなど、会期中にも内容が変化していく予定です。

開催場所:調布市文化会館たづくり、調布駅周辺(東京都調布市)
会期:2026年10月15日(木)〜2027年1月24日(日)※屋外プログラムは11月13〜15日

関連記事|【番外編】美術絵画からインスタレーションまで主要潮流をやさしく整理|大人のための現代アート入門【戦後・現代編】

ここがポイント

美術館の展示は、完成した作品を決められた場所で見るものだと思われがちです。しかし現代アートには、鑑賞者の参加や制作の過程そのものを作品にする表現もあります。

この展覧会では、作品が会場の外へ広がるだけでなく、地域の人々との交流によって変化していきます。

展示室の外で出会う作品や、誰かと一緒につくる時間もアートの一部になる。そんな考え方に触れられる企画です。

参考:調布市文化・コミュニティ振興財団

調布市文化・コミュニティ振興財団の公式サイト →

海外のART NEWS

7|ウォレスとグルミットの世界に入り込む―アードマン50周年の映像展が本日開幕

英国ロンドンのLightroomで本日10月14日、アードマン・アニメーションズの創立50周年を記念する「Larger Than Life: Starring Wallace & Gromit, Shaun and More」が開幕します。

アードマンは、『ウォレスとグルミット』や『ひつじのショーン』などで知られる英国のアニメーション制作会社です。

今回の展示では、高さ約11メートルの四方の壁と床に映像を投影。代表的な作品の場面だけでなく、制作の舞台裏や貴重なアーカイブ資料、展示のために新たに制作されたアニメーションも紹介します。

中心となるのは、粘土や人形を少しずつ動かして撮影する「ストップモーション・アニメーション」の制作工程です。

約50分の映像体験を通して、小さな人形に命を吹き込む緻密な手仕事の魅力を伝えます。

開催場所:Lightroom(英国・ロンドン)
会期:2026年10月14日(水)〜2027年1月4日(月)

ここがポイント

ストップモーションは、人形や物体を少しずつ動かし、一コマずつ撮影した画像を連続して再生することで動きを生み出す技法です。

画面の中では滑らかに動くキャラクターも、実際には膨大な数の細かな作業によって命を吹き込まれています。

CGアニメーションが広く使われる現在でも、粘土の質感や人形の手作業ならではの表情には独特の魅力があります。完成した映像だけでなく、制作する行為そのものを楽しめる展示です。

参考:Lightroom 公式展覧会案内

Lightroomの公式サイト →

8|テムズ川の泥を絵具に!?―川底の歴史を描くカイリー・マニングの新作展

英国ロンドンのPace Galleryで10月13日から、米国の画家カイリー・マニングによる個展「The Mudlarkers」が開催されています。

今回の作品で注目したいのは、絵具の素材です。マニングはロンドン周辺の粘土やテムズ川の泥を顔料に取り入れ、土地そのものが持つ色や歴史を絵画に結びつけました。

展覧会名の「マッドラーキング」とは、川の水位が下がった際、泥の中から古い硬貨や陶器などを探す活動のこと。かつては生活のために価値あるものを探す行為でしたが、現在では歴史的な遺物を発見する活動としても知られています。

マニングは、絵具を重ねたり削り取ったりしながら、見えそうで見えない人物や風景を描き出します。

ロンドンでの初個展となる本展では、土地の記憶を素材と制作方法の両方から表現しています。

開催場所:Pace Gallery(英国・ロンドン)
会期:2026年10月13日(火)〜11月14日(土)

ここがポイント

絵画の色は、チューブに入った絵具だけから生まれるわけではありません。顔料には、鉱物や土など自然由来の材料も古くから使われてきました。

マニングの作品が面白いのは、泥を単なる色の材料としてではなく、土地の歴史を含んだものとして扱っている点です。

川底から昔の品物を探すマッドラーキングと、絵具の層から形を探し出す制作行為。二つの「発掘」が重なり、絵画の素材そのものが物語を持つ作品になっています。

参考:Pace Gallery 公式展覧会案内

Pace Galleryの公式サイト →

9|写真は絵画になれるのか?―写真を芸術へ変えた表現の歴史をたどる展覧会

英国ロンドンのテート・モダンで本日10月14日、「Light and Magic: The Birth of Art Photography」が開幕します。

テーマは、19世紀末から世界各地へ広がった写真表現「ピクトリアリズム(絵画主義写真)」です。

写真が現実を正確に記録する技術として発展する一方で、写真家たちは絵画のように感情や雰囲気を表現する方法を探してきました。柔らかくぼかした画面や、印画紙の質感、暗室でのさまざまな加工技法がその手段となりました。

展覧会では、1880年代から1960年代に至る約80人以上の作家による、約200点の貴重な写真作品を紹介します。

ヨーロッパや北米だけでなく、アジア、南米、オーストラリアなどへ広がった国際的な写真芸術の歴史をたどる企画です。

開催場所:テート・モダン(英国・ロンドン)
会期:2026年10月14日(水)〜2027年2月21日(日)

ここがポイント

現在では、写真を加工して色や雰囲気を変えることは珍しくありません。しかし、写真をどこまで加工してよいのかという議論は、100年以上前から存在していました。

ピクトリアリズムの写真家たちは、写真を単なる記録ではなく、作者の考えや感情を表現する芸術として発展させようとしました。

展覧会では、中国の郎静山や香港の何藩など、欧米以外の写真家にも注目します。写真史を世界的な視点で見直せる点も大きな特徴です。

参考:Tate Modern 公式展覧会案内

テート・モダンの公式サイト →

10|シャガールの天井画を外すべきか?―パリ・オペラ座で60年来の議論が再燃

フランスのパリ・オペラ座ガルニエ宮で、マルク・シャガールが制作した天井画をめぐる議論が再び注目されています。

現在、客席の天井を彩っているのは1964年に完成したシャガールの作品です。しかし、その下には19世紀の画家ジュール=ウジェーヌ・ルヌヴーが描いた、もともとの天井画が残されています。

シャガールの作品は24枚の大きなカンヴァスで構成され、ルヌヴーの絵を覆う形で設置されました。

10月12日の英紙報道によると、ルヌヴーの子孫が原画の公開と修復を求め、法的手段に向けて弁護士に対応を依頼しています。

一方、シャガール作品も20世紀を代表する公共美術の一つとして親しまれており、撤去が決定したわけではありません。

ここがポイント

この問題が難しいのは、どちらも重要な美術作品であることです。

ルヌヴーの天井画は、建築家シャルル・ガルニエが構想した19世紀の装飾空間の一部でした。一方、シャガールの作品は20世紀の新しい芸術を象徴するものとして評価されています。

片方を見るためには、もう片方を隠さなければならない。美術品を保存するとは、何を守るかだけでなく、どの時代の作品を人々に見せるかという選択でもあるのです。

参考:The Guardian、2026年10月12日報道

The Guardianの記事 →

11|15世紀のモスクが美術施設として再生―ギリシャで約20年に及ぶ保存修復を経て公開

ギリシャ北部テッサロニキで、15世紀に建てられたハムザ・ベイ・モスクが、長年の保存修復を経て文化施設として再公開されました。

建物は1467年、オスマン帝国の軍人ハムザ・ベイの娘によって建立されたものです。その後の増改築や地震、火災などを経て、20世紀には「アラカザル」という名の映画館としても利用されました。

長年の修復作業を経て、2026年10月11日に一般公開を再開。現在はテッサロニキの美術館組織MOMusが展示・文化活動に活用しています。

最初の展覧会では、写真家ピート・マリフォグルーが撮影した1960〜80年代の街の写真を紹介。商店街や人々の暮らし、歴史的建造物が残る都市の変化を振り返ります。

かつて宗教施設だった建物が、今度は地域の歴史や文化を伝える場所として生まれ変わりました。

ここがポイント

一つの建物が、モスクから映画館へ、そして美術施設へと姿を変えてきたこと自体が、この街の歴史を物語っています。

テッサロニキは、オスマン帝国の支配や人口移動、戦争など、複雑な歴史を経験してきました。

今回の再公開では、建物を保存するだけでなく、現在の人々が文化施設として利用できるようにしています。歴史的建造物を過去の遺産として閉じ込めず、生きた文化の場へ変える取り組みとして注目したいニュースです。

参考:The Art Newspaper、2026年10月13日報道

The Art Newspaperの記事 →

12|古い雑誌の写真が新しい絵画に―ローナ・シンプソンの新作展

英国ロンドンのHauser & Wirthで10月13日から、米国の現代美術家ローナ・シンプソンによる個展「Previous & Ongoing」が開催されています。

シンプソンは、写真と言葉を組み合わせた作品で知られ、2014年頃からは絵画にも本格的に取り組んできました。

今回の新作展では、過去の写真資料や雑誌のアーカイブを再構成した絵画、コラージュ、彫刻などを紹介します。

制作の重要な手がかりとなっているのは、アフリカ系アメリカ人の生活や文化を伝えてきた雑誌『Ebony』の写真資料です。

シンプソンは、こうした過去の画像を切り取り、組み合わせ、絵画へ変換することで、写真に記録された人物や歴史を新しい視点から捉え直します。

英国での展覧会は約8年ぶりとなり、写真から絵画へと広がる活動の現在地を紹介します。

開催場所:Hauser & Wirth London(英国・ロンドン)
会期:2026年10月13日(火)〜12月23日(水)

関連記事|【番外編】美術絵画からインスタレーションまで主要潮流をやさしく整理|大人のための現代アート入門【戦後・現代編】

ここがポイント

古い写真は、過去の出来事を記録した資料として扱われます。しかし、どの写真を残し、どのように紹介するかによって、伝わる歴史の姿は変わります。

シンプソンの作品では、雑誌に掲載された写真やアーカイブ資料が、別のイメージとして組み直されます。

写真をそのまま再現するのではなく、新しい絵画へと変化させることで、過去と現在のつながりや、写真に写されなかったものについて考えさせます。

参考:Hauser & Wirth 公式展覧会案内

Hauser & Wirthの公式サイト →

13|10年間閉ざされた美術館が復活―ティツィアーノら巨匠の絵画約100点を再公開

スペインのエル・エスコリアル修道院にある絵画美術館と建築博物館が、長年の閉鎖と改修を経て10月2日に再公開されました。

エル・エスコリアル修道院は、16世紀にスペイン国王フェリペ2世が建設を命じた壮大な宮殿・修道院複合施設です。スペイン王室の歴史と深く結びつき、貴重な美術作品も数多く所蔵しています。

再公開された絵画美術館では、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、ファン・デル・ウェイデンらの作品約100点を展示。このうち21点は、常設展示として初めて公開される作品です。

今回の改修では展示室や見学経路も整備され、建築博物館では修道院の設計や建設の歴史を紹介します。

長く閉ざされていた王室コレクションに、再び触れられるようになりました。

ここがポイント

エル・エスコリアル修道院は、単なる宗教施設ではありません。フェリペ2世の政治的・宗教的な構想を反映した建築であり、王室が収集した美術品を伝える場所でもあります。

今回の再公開では、約100点の絵画を通して、イタリア、フランドル、スペインの美術を比較できます。

21点の常設初公開作品に加え、建物そのものの歴史を学べる点も重要です。作品と、それらが集められた場所を一緒に見ることで、王室コレクションの意味がより立体的に見えてきます。

参考:スペイン国家遺産局(Patrimonio Nacional)公式発表

スペイン国家遺産局の公式サイト →

まとめ

10月14日のニュースでは、美術がどのように生まれ、受け継がれ、新たな表現へと変化していくのかを考えさせる話題が集まりました。

フォンタネージの大回顧展は、日本の画家たちが西洋絵画を学び始めた時代を振り返る機会です。北斎の凱旋展では日本から海外へ広がった美術の歴史に、少女漫画の三人展では独自の視覚表現が発展してきた歩みに触れられます。

海外では、テムズ川の泥を絵具に使うカイリー・マニングや、古い写真を絵画に変えるローナ・シンプソンなど、素材や既存のイメージを新しい表現へ生かす作家たちの活動が注目されます。写真芸術の歴史をたどる展覧会や、アードマンのアニメーション展も、普段親しんでいる表現の背景にある技術と創意工夫を教えてくれます。

一方、シャガールの天井画をめぐる議論や、ギリシャの歴史的建造物の再生、スペインの美術館再公開は、過去の作品や建物を未来へどう残すかという問いにつながります。

新しい作品をつくることも、過去の作品を守ることも、美術を次の時代へつないでいく大切な営みです。