3分講座入門

日本画と洋画、どう違うの?【忙しい人のための3分講座】

この記事は3分ほどで読める入門記事です。日本画と洋顔の違いを、できるだけ身近な言葉で、短く整理していきます。

日本画と洋画の違いとは?何をどう比べればいいの?

美術館や展覧会の案内を見ていると、日本画や洋画という言葉に出会います。けれども、その違いをあらためて説明しようとすると、少し迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。日本画は日本の絵、洋画は西洋の絵と考えると、いったんは分かったような気持ちになります。けれども実際には、それだけでは十分ではありません。日本人が洋画を描くこともあれば、日本画という言葉自体も、長い歴史の中で自然に生まれたというより、近代の日本で整理されてきた呼び方だからです。

日本画と洋画の違いを知るときに大切なのは、誰が描いたかということよりも、何を使って、どのように描き、どんな美しさを大切にしてきたのかを見ることです。材料の違い、表現の傾向の違い、そしてその呼び分けが生まれた歴史をたどっていくと、二つの世界の輪郭が少しずつ見えてきます。今回は、日本画と洋画の違いを、はじめての方にも分かりやすい形で、ゆっくり見ていきましょう。

まず違うのは、使う材料と技法

日本画と洋画の違いとして、もっとも分かりやすいのは、使う材料と技法です。日本画では、和紙や絹の上に、岩絵具や墨、胡粉などを使って描かれることが多くあります。岩絵具は、天然の鉱物などを細かく砕いてつくられた絵具で、落ち着きのある深い色合いが魅力です。胡粉は白い顔料で、貝殻などを原料としてつくられ、やわらかな白さを生み出します。墨のにじみや線の表情も、日本画の大切な魅力のひとつです。

それに対して洋画では、キャンバスに油絵具を使う油彩がよく知られています。油絵具は色の重なりや厚みを出しやすく、光と影の移ろいや、ものの質感をていねいに表しやすい材料です。ほかにも水彩やアクリルなどがありますが、日本で洋画というと、まず西洋由来の絵画技法の流れを受けた表現全体を指すことが多くあります。

ここで気をつけたいのは、日本画は日本人が描いた絵、洋画は外国人が描いた絵、という単純な分け方ではないということです。たとえば日本の画家が油絵具で描けば、それは洋画の系譜に入りますし、日本人の画家が和紙や岩絵具で制作すれば、日本画として考えられます。つまり、この二つは国籍の違いというより、どの材料と技法の流れに立っているかによって分けられているのです。

作品を前にしたとき、色の出方がどこかやわらかいのか、あるいは厚みを感じるのか。線が静かに生きているのか、光と影の重なりが豊かなのか。そうした手ざわりの違いに目を向けると、日本画と洋画の入口が少し見えてきます。まずは何で描かれているのかを意識することが、二つの違いを知るいちばんやさしい方法です。

描き方の考え方にも、それぞれの傾向が

日本画と洋画は、材料だけでなく、描き方の考え方にも違いがあります。洋画では、目の前の人物や風景が、その場に本当にあるように見えることが大切にされてきました。そのため、遠近法を使って空間の奥行きを表したり、光と影の差を細やかに描き分けたりして、立体感や現実感を生み出そうとする流れが強く見られます。人物の肌の質感や布の重さ、空の広がりなどを、目で見た印象に近づけながら描いていくところに、洋画の大きな魅力があります。

一方、日本画では、目の前のものをそのまま写すことだけが重んじられてきたわけではありません。もちろん写生を大切にする作品もありますが、それと同時に、線の美しさ、余白の静けさ、色の重なりの気配など、画面全体の調和を味わうような表現も大切にされてきました。すべてを細かく描き込まなくても、花びらの形や枝の流れ、空気の気配が、静かに伝わってくることがあります。そこには、見たものをそのまま再現するというより、見つめたものの印象や趣を、丁寧にすくい上げようとする姿勢があります。

ただし、ここはとても大切なところですが、日本画は平面的で、洋画は立体的だと言い切ってしまうと、少し乱暴です。日本画の中にも奥行きや量感を感じさせる作品はありますし、洋画の中にも、形を単純化したり、装飾的な美しさを前に出したりする作品があります。ですから、きっぱり分けるというより、それぞれに重んじてきた傾向がある、と考えるほうが自然です。

たとえば洋画を見るときには、どこから光が差し込み、どのように空間が広がっているのかに目を向けると面白く感じられます。日本画を見るときには、線の呼吸や色の重なり、何も描かれていないように見える余白が、どんな役割を果たしているのかに気づくと、作品との距離が少し縮まります。描き方の違いは、そのまま作品の味わい方の違いにもつながっているのです。

日本画と洋画という呼び方は、近代の日本で整理された

もうひとつ知っておきたいのは、日本画と洋画という分け方が、昔からそのまま存在していたわけではないということです。とくに近代の日本では、西洋の美術が本格的に入ってきたことで、絵画の学び方や評価の基準が大きく変わっていきました。その中で、日本にもともとあった絵画の伝統と、西洋から入ってきた絵画の方法を区別して考える必要が生まれ、日本画と洋画という呼び方がしだいに整理されていきます。

このことは、とても興味深い点です。なぜなら、日本画という言葉は、古くから変わらない一枚岩のものを指しているわけではなく、近代という時代の中で、あらためて意味づけられてきたものだからです。つまり日本画も洋画も、ただ自然に並んでいた二つの世界ではなく、近代の日本が西洋美術と向き合う中で、形づくられてきた区分だと言えます。

そのため現代の作品を見ていると、日本画と洋画の境界が、思ったよりはっきりしていないこともあります。日本画の材料を使いながら新しい感覚で描く作家もいますし、洋画の技法を学びながら、日本の風土や感覚を大切にする作家もいます。二つの違いを知ることは大切ですが、その違いだけですべてを決めつけないことも、同じくらい大切です。

まとめ

日本画と洋画の違いは、まず材料と技法にあります。そして、描き方の傾向や、美しさのとらえ方にも、それぞれの歩んできた道筋が表れています。さらにその背景には、近代日本が西洋美術と出会い、自分たちの絵画をあらためて見つめ直した歴史がありました。難しく考えすぎなくても、まずは色の重なりや線の表情、画面に流れる空気の違いを感じてみるだけで、二つの絵画の世界はぐっと親しみやすくなります。違いを知ることは、好き嫌いを決めるためではなく、それぞれの魅力に気づくための静かな入口でもあります。作品を見るとき、これは日本画か洋画かと名前だけで分けるのではなく、何で描かれ、どんな表現が選ばれ、どのような美しさが大切にされているのかを静かに見ていくと、その絵は少しずつ、自分の言葉で語りはじめてくれるはずです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です